人生は再生の物語である。

59歳無職から還暦のリアルへ。

当たりハズレ(後編)

入った店で食べたランチが不味かった。

 こんなことはよくある話である。

 

クヨクヨしてはいけない。

 

当たりハズレで外れただけなのだ。

 

外で食べるものが外れないようにするとしたら

味が均一なファミレスしかなくなってしまう。

 

いつもは行かない街で当たりの店に入ることなど

そもそも確率が低い話なのだ。

 

だから面白いのかもしれない。

 

特に東京ではそう思う。

 

残念ながら美味しい店自体が少ない。

 

よくこんな店でもやっていけるな、と思うような店にも

客がいて逆にビックリすることがある。

今回のように昼近くになって客がいない店、

その後も客が来ない店は

残念ながらそれだけである程度の予想はつく。

 

しかし、とりあえず食べることはできた。

ハズレだったとしても注文したものは出されたのだから

文句も言えない。

 

しかし、そのあと第2弾が待っていた。

 

商店街をブラつきながら買い物もして

ランチを済ませると雨もあがっていた。

 

墓参りも何とかできた。

 

当初の目的も果たせたので気を取り直し、妻に念のため訊いた。

 

墓参りを済ませると駐車した時刻からちょうど2時間ぐらい、

少し早足で戻れば間に合いそうだけど、それでいい?

 

駐車場の料金が頭にあったので戻る時間を逆算したのだが

問題ないようなのでそのまま急いで駐車場に戻った。

 

そこは大きな道に面していて看板では30分200円と書かれていた。

 

2時間以内なら千円でおつりがくる。

かなりリーズナブルである。

 

急いで料金を払おうとして駐車番号を押すと

表示された金額にビックリ!

 

何と、1800円 と表示されたのだ。

 

え?

 

800円じゃないの?

 

キョロキョロしていると

その近くに別のプレートがあって

 

何と、 12分200円 という表示がされていたのだ。

 

え?

 

30分200円 じゃないの?

 

動転している私のコンピュータが瞬時のうちに冷静になって

その事態を把握した。

 

つまりこういうことだ。

 

道に面している看板に表示されている30分200円の駐車場は確かに存在するのだが

私が停めた駐車場はそこに隣接しているものの入りくんでいて

何と別の駐車場!

 

そこは別の高い料金体系で運営されていたのだった。

 

詐欺かよ・・・

 

急いで車を出し帰路にはついたものの

混乱した頭脳回路はフリーズしていた。

 

急いで戻ったから2時間ではなく12分前で2千円ではなかったけど

目いっぱいだったらさらに傷が深くなっていたはずだ。

 

その巧妙に作られた駐車場は多くの人を奈落の底に突き落とすだろう。

 

しかし、自分にも責任はある。

 

よく見るとその小さなプレートにはちゃんと駐車料金が書かれているのだ。

 

都会ならではかもしれないが

狡猾ではあってもルールには則っている。

 

反則だろ??

 

いや、でもカウント3までの反則なら許されるか・・・

 

やるせない思いをしながらも

自分の注意不足を振り返るきっかけになったことは間違いない。

 

人は痛い目にあわないと

なかなか自分の行動を翻ることも反省もしないものだ。

 

痛い思いも金銭がかかわると、更にその痛みは強く残る。

 

ブツブツと思いついたことをつぶやいていたら

妻が気になることを言った。

 

私が出た後にすぐ入る車があって年老いた人が運転していたのだが

その妻らしき人が、駐車料金大丈夫なの?と訊いていたらしい。

老人は余裕がないのかそれを無視してバックで車庫入れしたようなのだが

妻はその人に何か言うべきだったか、というのだ。

 

これもまた難しい。

 

その料金が高いのか安いのかはそれぞれだから

見知らぬ人に高いですよ、と言っていいのかはわからない。

 

空はすっかり晴れていた。

 

帰りのドライブはいつも以上に安全運転を心がけたが

妻との会話はつきることがなかった。