人生は再生の物語である。

59歳無職から還暦のリアルへ。

会社を辞めてわかったこと ④自分の居場所はどこなのか?

その日、私はPCを持参して家を出た。 

 

このままではいけない。

 

そう思った私はひとまず

家以外に自分が過ごす場所を探すことにした。

 

PCを持参したのは

何も持たないと不安だったこともあるが

手ぶらだと

散歩してから普通に帰宅してしまう

可能性もあったからかも?

 

とりあえず

この何かしようという気持ちが

PC持参ということに

なったのは間違いない。

 

今日は違う。

ぼんやりとではあっても

確かにそう思って

外出したのだ。

 

それまでの私はというと・・・

 

会社を辞めて

最低限の手続きはしたものの

それがひとまず済むと

毎日ミニシアターに足を運び

古い日本映画ばかり観て過ごしていた。

 

とりあえず

何かすることが決まるまでは

やりたいことをして時間を過ごそう。

 

何となくモヤモヤした気持ちを

ふっきりたい、というのもあった。

 

そこで思いついたのは

映画を見ることだった。

 

しかし、それも長くは続かない。

 

映画を日に何本か見てしまうと

それだけで1日が終わる。

 

しかも、映画を堪能すると

それはそれで結構グッタリしてしまい

何か他にすることができなくなってしまうのだ。

 

しかも映画というものは

見始めると

さらに他の作品も見たくなり

予定がどんどん埋まってしまう。

 

夢中になるとやめられなくなるのは

幸せなことだが

他のことができなくなるのは

私の悪いクセだ。

 

ミニシアターや上映会のチラシが

あっという間にたまっていき

その予定を入れているうちに

何と年末になってしまった。

 

え、このまま1年が終わる・・・

 

そうすると

ひよっとしたら来年もこのペースで

1年が終わり

その繰り返しで私の一生が終わる・・・。

 

極端に考えてしまうのも

私の悪いクセだ。

 

そうすると

またまただが

次第にこのままでいいのかという思いが強くなってきた。

 

しかし、映画館に通うことを

やめるということは

また次に何をするのかを

決めないといけないことでもある。

 

それは何なのか。

 

働くということは

収入を得ることではあるが

同時に毎日のほとんどの時間を過ごす場所を確保する、

決めてしまうことでもある。

 

とりあえずサラリーマンであれば

自宅以外に会社というものが存在するから

そこの場所を確保できる。

 

これから在宅勤務というやり方も

本格化するのだろうが

私の感覚では

あうあわないも含め

働き方上級者でないと

いいことばかりではないような気がする。

 

働くことから解放されると

気楽ではあるものの

実は

毎日の時間を過ごす場所をどうするかも

決めないといけないということだ。

 

そこはどこなのか?

 

映画館ではなく、どこにいけばいいのか?

 

どこで過ごせばいいのか?

 

会社を辞めてフリーになったのだから

毎日通う場所など必要なくなったのだが

何となく落ち着かないのは

会社という決められた場所に何十年も通う習慣が

しみついてしまったせいだろうか。

 

もちろん

フリーでも毎日予定が入って

どこかに出かける、

そして、

それが終わったら家に戻る、

これができる人なら

そうならないのかもしれない。

 

ただ、

フリーの人で

毎日違うことができる人もいるだろうが

ある程度は

レギュラーのものが欲しいと思うだろうし

それは収入の確保だけではなく

心が何かしらの安定を求めるという

自然のベクトルのような気もする。

だから

それと同じように

たとえフリーの立場であっても

いや、

だからこそかもだが、

決められた場所で過ごす時間を

案外求めているのではないだろうか。

 

私もそれまでの生活とは違って

急に予定がない毎日になってしまい

決められた外出の予定が

なくなってしまうと

必然的にだが

自宅での時間が長くなってしまった。

 

今までのように

それがたまにならいいが

毎日になってしまうと

たとえ自分の家でも

自宅は自宅だから

その過ごし方のルールを

見直さなければならない。

 

そうなると

ずっと自宅で過ごすというのは

さすがに辛くなってしまう。

 

PCを持参した私は

ひとまず

いくつかのイメージをもっていたので

それを実行することにした。