人生は再生の物語である。

59歳無職から還暦のリアルへ。

季節は変わる。

昨日の台風の影響がウソのような強い日差しが窓から見える。

 

10月になった。

 

ずっとぐずついていた曇り空。

 

 冷たい風が吹き、晴れ間が見えない重苦しい天気が続いていた。

 

久しぶりの快晴だ。

 

あっという間に夏が過ぎ、

さわやかな秋を味わうことなく寒くなるのか・・・

そう思っていたがそんなことはなかった。

 

去年まではそれでも毎日会社に通って

天気がどうなっても気に留めることなく過ごしていた。

 

台風が来ても電車が動く限り会社に向かう。

 

再就職したところはタイムレコーダーがある会社だったから

たとえ1分の遅刻も許されないという緊張感があった。

 

それも今となっては懐かしい。

 

もうそれから解放されて1年近くなるのだ。

あっという間に時間は過ぎるし、季節も変わる。

 

そうだ、

去年最後の出社を終えてから迎えた週末も

台風の影響で大雨だった。

 

週明けの月曜日、

もう会社に行かなくてもいい気楽さはあったが

まだ慣れない手持無沙汰な思いに戸惑いながら

朝のニュースを見ていた。

 

通勤時間に電車が止まると駅には人が溢れることになり

大きく混雑する。

 

台風や人身事故、信号機故障。

毎日何かあるから電車に乗れるかどうかで消耗するが

やがてそれにも慣れてくる。

 

ヒトゴトではなく当事者である限り、

それを避けるわけにはいかない。

 

だから覚悟も出来るのだろう。

 

イヤでも電車が来ればそれに乗り込む。

どんなに混んでいても有無を言わさずそこの中に入ることしかない。

入って運ばれて、降りて、乗り込む、を繰り返す。

 

最後に下車する駅が近づくと

安堵といつものように気の重さが入り混じるが

出社するまで気は抜けない。

 

何だか遠い昔の話のようだ。

 

もう今の自分はその当事者ではないのだ。

 

毎日の天気予報も朝の風景も

いつの間にかヒトゴトになっている。

 

そして、

いったんそれから解放されてしまうと

もうそこには戻りなくないという強いができてしまったせいか

気持ちが既に別の方向を向いている。

 

だがまだ見つめる先は少しうつろで、定まってもいない。

 

ぼんやりした視界にははっきりしたものが見えていないのだ。

 

自分が何をしたいのか

ふんわりした気分の中で彷徨いながら

その気持ちをつかめずにいるからだろう。

 

だけど、

ゆったりした時間の中に身置いて

少し敏感になりつつある感覚や

自分の心の奥にある声に耳を澄ませるのは

決して悪い気分ではない。

 

そんな自分をやさしくいたわることがあっても

いいのかもしれないな。

 

はっきりしているのは

もう季節は変わっていることと

後戻りができないことだろう。

 

明るく前を向いて過ごしていきたい。